バイオリン・ビオラ・チェロの弓

特集:カーボン弓を持とう!

「スピッカートができるようになったんです」
バイオリンをはじめて5年目のお客様Kさんに喜んでいただきました。それまでは最初に購入したバイオリンセットに付属の弓で弾いていたのですが、どうも思うように弾けない、と悩んでいました。弓を見せていただくとやはり「セットにおまけ」といった類の物で、これでは大変だろうなあと思い、弓をご紹介しました。

サルトリー

サルトリー

ちょうどバイオリンを買い換えたいと考えていたようで、Kさんにとってステップアップの時期だったのでしょう。しかし、楽器を見ると悪い物ではありません。きちんと調整をすればバランスのよい、よく鳴るバイオリンです。買い換えるにしても中途半端なステップアップよりも大きなジャンプアップの方が楽しみが大きいものです。そこで、その予算を弓に回してはどうか、と提案しました。

シャルル・ペカット

シャルル・ペカット

Kさんに限らず、多くのアマチュアプレイヤーは弓が消耗品であることをご存じありません。楽器と違い、使えば使うほど性能が落ちてきます。特に安価な弓だと数年経てばもはや弓とは言えない、という物も少なくありません。そのようなことをお話しするとKさんは驚き、最初に買ったときに知っていれば、と悔やんでいましたが、現在の弓はいざというときに持っていて無駄にならないし、将来、オーケストラで演奏する曲によっては出番が回ってきますよ、とアドバイスしました。

ルイ・モリゾー

ルイ・モリゾー

弓が変わるだけでテクニックが向上する、バイオリンがうまくなる、という話にはKさんは半信半疑でしたが、そもそも楽器と弓のバランスがよくないと楽器の性能を引き出すことはできないんですよ、ということには納得したようです。ですから、今の楽器に見合う弓、現在のKさんの技術、音の好みなどを総合して弓を選びましょう、ということになりました。

ルイ・ジレ

ルイ・ジレ

結局、有名マイスターの工房製の弓を購入していただきましたが、あれこれ試しているうちに、性能の違いを実感したようです。途中、元の弓を手に取ったときは「あれ?」という表情になり、弓の違いだけで腕がよくなることを理解していただきました。
ところで、試奏弓の中にカーボン弓を混ぜてみました。明らかに見た目が変わるのでKさんは興味津々で手にしました。弾いてみるとボウイングが安定し、「跳ばし」も楽にできます。音の良さは木の弓の方が気に入ったので、一旦候補から脱落しましたが、値段を聞いてびっくり。予算に十分収まったので、カーボン弓共々ご購入いただきました。

バイオリン・ビオラ・チェロの弓

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